注文住宅のトラブル事例をチェック!防止策を事前に考えよう
間取りや外観などを自由に選択できる注文住宅に憧れる人は多いですが、トラブルが発生するケースも意外と少なくありません。家を建ててから後悔しないように、事前にトラブルの事例を知って防止策を考えておくことは大切です。そこで、この記事では注文住宅のトラブル事例や防止策、万が一トラブルが起こった際の対処法などを紹介します。
注文住宅はトラブルが多い?
注文住宅のトラブル事例は、残念ながら少なくありません。よくあるトラブル事例としては、次の5つです。
完成後の家がイメージと違う
1つめは、家がイメージと違うものに仕上がったというものです。注文住宅は施主と施工業者の打ち合わせをもとに、間取りや外観などの設計書を作成します。そのため、両者のイメージが異なっていると、仕上がりが満足のいかないものになる可能性があります。
家の引き渡し後に施工ミスや設備の不具合が発生する
2つめは、引き渡し後に施工ミスや設備の不具合が発生してしまったというケースです。また、壁紙の剥がれ、外壁の色むら、ドアや床の傷など、雑な作業が発覚する場合もあります。
工期の遅れ
3つめは、工期の遅れです。工期とは着工から引き渡しまでの期間のことで、平均して4か月程度だといわれています。しかし、悪天候が続いたりや災害が発生したりすると、工期が遅延してしまうこともあります。とくに、建築の資材は全国から運搬されるため、物流の拠点で災害などが起こってしまうと、大幅な工期の遅れにつながりかねません。
着工後の近隣トラブル
4つめは、着工後の近隣トラブルです。工事中は大型車両の出入りや騒音、ほこりなどで近隣の家に迷惑をかける可能性があります。そのため、着工前の挨拶はもちろん、工事中の工具の整理や、現場の清掃など細かい部分の配慮を怠ると、住み始めたあとの近隣トラブルに発展することもあります。
お金に関するトラブル
5つめは、お金に関するトラブルです。具体的には、施工業者に提案された追加工事を内容や金額を確認せずに進めてしまったため、支払いが高額になる、さまざまなオプションをつけるうちに、予算額ぎりぎりの住宅ローンを組んでしまって、そのあとの生活が苦しくなるケースなどがあります。また、反対に大幅な値引き交渉をしたために、資材の質を下げられたりして、結果的に質の悪い家に仕上がってしまうという場合もあります。
注文住宅のトラブルを防止する方法
先述したように、注文住宅にはさまざまなトラブル事例がありますが、きちんと対策を講じれば、事前に防止できるものもたくさんあります。ここでは、それぞれのトラブル事例の防止方法を紹介します。
完成後の家がイメージと違う
これは、施主と施工業者のイメージする仕上がりが異なるために起こるトラブルです。両者のイメージをできるだけ一致させるためには、日頃から担当者としっかりコミュニケーションを取り、根気強く打ち合わせをしていくことが大切です。施主のイメージに近い写真やイラストなどを持参すれば、担当者にもイメージが伝わりやすくなります。家全体のイメージや色合い、窓の位置や天井の高さなどを模型で提示してくれたり、CGで見せてくれたりする施工業者であれば、ぜひそれらを利用しましょう。また、すべてを施工業者任せにするのではなく、自分なりに建材や工法の予備知識を学ぶことや、打ち合わせのメモを取ることも大切です。
家の引き渡し後に施工ミスや設備の不具合が発生する
施工ミスは、早いタイミングで気づけば、対処が可能な場合もあります。そのため、工事中できるだけ現場に出向いて、設計通りに工事が行われているかを自分の目で確認することがトラブル回避のポイントとなります。その際、職人さんたちにもきちんと挨拶し、ときには飲み物などの差し入れもしておけば、適度な緊張感をもってもらうことができ、雑な作業の防止にもなります。また、信頼できる施工業者を選ぶことも大切です。信頼できる施工業者とは、実績がある、質問に明確に答えてくれる、親身に相談にのってくれる、予算内で最善の提案をしてくれるなどの特徴があります。
工期の遅れ
工期については、契約書に着工日と引き渡し日が記載されています。まずは、それらをきちんと把握しておきましょう。そのうえで、悪天候が続く、災害が発生するなどの特別な事情がないのに、工事が進んでいないようであれば、一度担当者に相談するのがおすすめです。しかし、災害などの特別な理由がある場合は、施工業者にもどうしようもない場合があります。入居したいタイミングに間に合わないというトラブルを回避するには、余裕を持って家づくりをスタートすることも重要です。
着工後の近隣トラブル
着工後の近隣トラブルを避けるためには、まず、着工前にきちんと挨拶をしておくことが大切です。一般的には施工業者が挨拶を行ってくれますが、可能であれば、自ら足を運んで自己紹介もかねて挨拶をしておくと、好印象を与えることができます。また、ときには工事中に現場に出向いて、工具の整理や清掃が行き届いているかを確認することもおすすめです。
お金に関するトラブル
まず、大幅な予算オーバーを避けるためには、施工業者が提案する追加工事に関して、その都度見積りを出してもらってしっかり検討することです。また、夢のマイホームを追求してオプションをつけたくなるのはわかりますが、お金をかける部分とかけない部分を明確にしておくことも大切です。一方で、過度な値引き交渉は、質の悪い家や欠陥住宅の完成につながりかねないので、注意が必要です。
万が一、トラブルが起こってしまったら?
トラブル事例を知り、事前に防止策をたてることは効果的ですが、残念ながらそれでもトラブルが起こってしまうことはあります。万が一、トラブルが起こってしまったらどうすればよいのでしょうか。
住宅瑕疵担保責任保険を利用する
まず、施工ミスなど住宅の欠陥に関するトラブルなら「住宅瑕疵担保責任保険」を確認しましょう。住宅瑕疵担保責任保険は、住まいを守る法律によって義務づけられている保険で、新築住宅に瑕疵(欠陥)があった場合、その補修のための費用を補填してもらえる制度です。そして、施工業者は、基本的に住宅瑕疵担保責任保険への加入が義務づけられています。
そのため、家を引き渡してから10年間で、雨漏りや基本構造部分に問題が発生したら、施工業者が無償で修復をする必要があります。この時、もしも施工業者が倒産などの理由で瑕疵担保責任を履行できない場合、住宅取得者は保険法人に対して保険金を請求できるので安心です。ただし、台風、豪雨、火災、落雷などによって瑕疵が発生した場合は、保険が適用できません。また、クロスのはがれなどの内装や外観に関するトラブルにも対応していないので注意が必要です。
トラブルが起こったときの相談先
トラブルが起こったときは、基本的に家を建てた施工業者が対応してくれるのが一番です。しかし、施工業者が誠実に対応してくれない場合は、第三者の専門家に相談するという方法もあります。相談先はさまざまですが、代表的なものを2つ紹介します。
1つめは、消費に関する全般的な相談や苦情を受けつけてくれる「国民生活センター」です。近くの消費生活相談窓口を知りたい場合は「188」に電話すれば案内してもらえます。
2つめは、住宅の欠陥、施工業者とのトラブルなど住宅トラブルの幅広い相談を取り扱う「公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)」です。「0570-016-100」に電話すれば、ナビダイヤルでつないでもらえます。トラブルが起こった場合は、一人で悩まずに相談窓口を上手に利用しましょう。
注文住宅は理想に近い家づくりができる反面、施主側にもある程度の知識がないとさまざまなトラブルが起こってしまう可能性があります。しかし、トラブル事例や対処法を知っておけば、ある程度は事前に防ぐこともできます。また、高い買い物だからこそ、消費者の一人として、トラブルが起こってしまった際の相談窓口を知っておくことも大切です。住宅の完成後に家族が楽しく暮らすためにも、必要な知識は身につけておくことをおすすめします。
